ジャズのアドリブ基礎知識「コード(和音)の特徴とアドリブ奏法」
※音楽のスケール(音階)についての基礎知識が無い方は、このセクションの後に記載している「ジャズのアドリブ基礎知識「スケール」」を最初にご参照ください。
ジャズのアドリブ基礎知識「スケール」
ここしばらくは、ジャズの醍醐味でもある「アドリブ奏法」を説明していきたいと思いますが、分かりやすくするために、全ての音楽に共通な重要な「要素」を事前に説明しておく必要があります。その第一弾として「スケール(音階)」について説明しておきたいと思います。
「スケール(音階)」は、ご存知のようにハ長調(C Major Key)で言えば、「ドレミファソラシド」のことです。この音階には「種類」があり、その「種類」は以下の2つに分類できます。
分類1) 音階のルール(※1) : 「長調(Major Key)」 と 「短調(Minor Key)」の2種類
分類2) 音階のルート音(※2): 「ドから始まるスケール(音階)」と「ド#から始まるスケール」と
「レから始まるスケール(音階)」と「レ#から始まるスケール」・・・
・・・・等の計12種類
「分類1)が2種類」、「分類2)が12種類」、よって、2×12=24種類のスケール(音階)があることになります。
「音階のルール」と「音階のルート音」が決定すれば、曲の「スケール(音階)」が決定され、使用される(できる)音が決定します。どんな曲でもそうですが、ベースとなる「スケール(音階)」が24種類の内1つに決定されており、(基本的には)その「スケール(音階)」を構成している音で、メロディーや和音が作られています。
(※1)音階のルール
ピアノの鍵盤配列を見てもらえれば分かりますが、ハ長調のスケール(音階)である「ドレミファソラシド」は、「ド→レが全音、レ→ミも全音、ミ→ファが半音、ファ→ソが全音・・・・という間隔になっています。つまり、長調(Major
Key)のルールとしては、ルート音(※2)からの音の間隔が「全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」という間隔になるということです。実際に弾いてみると、明るい響きになります。また、短調(Minor
Key)も上記のような音の間隔の異なるルールがあり、実際に弾いてみると暗い響きになります。
(※2)ルート音
スケール(音階)の最初の音のことを差します。ハ長調(C Major Key)やハ短調(C minor Key)であれば、「ド」の音がルート音になります。
「クラッシック」と「ジャズ」の違い
今回は、「クラシック」と「ジャズ」の違いについて考え、私の解釈を説明したいと思っています。
以下に記載した「クラシックとジャズの違い」は、私が考える両者の「主な楽しみ方」の違いで整理するアプローチを取りました。もちろん、異なるアプローチで違う説明もできますし、アプローチ次第では、「クラシック」も「ジャズ」も一緒だ!と説明することもできると思います。
さて、まず「クラシック」の楽しみ方ですが、作曲者が楽譜に書き記した曲を最初の1音から最後の1音まで忠実に表現し、その曲自身の美しさや、当時の作曲者の思いを重ね合わせることだと考えます。
中世では録音技術が無かったために、楽譜だけが唯一後世に残ったものだと思います。現在の演奏者は、作曲者による当時の演奏を聴くことはできないですし、作曲者自身に演奏を評価してもらうこともできません。ある意味正解の無いものを追求していることが、醍醐味になっているように感じます。また、楽譜に記載されている1音1音を忠実にかつ表現豊かに演奏することで、当時の作曲者の思いを感じて楽しむと同時に、完成度の高い曲自身を楽しむというのが主だと考えます。
一方で、ジャズは即興演奏(アドリブ演奏)によって、「自己表現」することを楽しむのが主だと考えます。実際、ジャズの弾き手も聴き手も、即興演奏の緊張感を楽しむのがジャズの醍醐味になっています。
ジャズの発端は、黒人労働者が厳しい労働が終わった後の楽しい時間を過ごすために、一日の出来事を「即興」で口ずさんで歌ったり、リズムを叩いていたことだと文献に記載されているのを見たことがあります。
当然、即興演奏が無いジャズの曲もあり、それを楽しむこともできるわけですが、それを言ってってしまえば、クラシックもクラシック調のPOPSを楽しめるよ・・という話になり、クラシックとジャズの決定的な違いを比較することができなくなります。ジャズの発端を見ると「即興演奏」こそが、クラシックとの決定的な違いだと考えられるのではないでしょうか?
このように楽しみ方が違えば、「演奏するために必要な技術や決まり事も違う」ということになります。
次回以降は、ジャズ演奏をより楽しむためのジャズの基礎知識について記載していきたいと思います。